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■ ある夕方の出来事

-- 夢のある話をしよう。僕は今日「火の玉」を見た。燃え上がった隕石、大きな大きな流れ星、まさかテポドン?、いやいやあれは大気圏に突入するスペースシャトルだ。きっと今頃アメリカのNASAでは、映画のワンシーンのような緊迫したシーンが繰り広げられていることだろう。「夕方見える火の玉は、そのほとんどがNASAの仕業だ」。ふふんと鼻をならし「間違いない」と、彼もきっと言うと思う。さて、改めて夢のない話をしよう。今日は今年一番というくらいよく晴れた日だった。澄み切った空には雲ひとつなく、透明感のある空気が宙に満ち満ちていた。彩度を失うように暗くなってきた空を見上げると、だだっぴろい空に飛行機が浮かんでいた。肌をさす空気から湿度が低いことは感じていたが、それでも少しは水蒸気が残っていたんだと気付いた。飛行機の尾にたなびいた雲。わずかだけど飛行機雲が出ていた。機体は北東へと、ジェットが造り出した尾をたずさえながら、進んでいった。まっすぐ飛んでいるだろうに、天頂を過ぎると後は落ちていってるようにしか見えなかった。角度的に夕陽を最も反射するポイントにきた時、見慣れた形をしていた機体が光に輝いて網膜ににじんだ。それは火の玉のようだった。


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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