季節コラム「あまみ頃」 5月13日

  『 梅 雨 入 り ?』

  

 「梅雨入り」だろうか。なんとか踏ん張っていた空が、今日くずれた。夕方から降り始めた雨は、今も止むことなく音をたてている。

 梅雨に入る前に。そう思って、今日は加計呂麻まで足を伸ばした。久しぶりの原付旅行。50ccのエンジンで3つの長いトンネルを抜け、一つの大きい峠を越えた。ただやっぱり国道は原付で走るもんじゃない。開放感満点の原付なのに、車に追い立てられてドキドキするばかり。峠道ではフルスロットルでも30km出ないし・・。瀬戸内への道のりは原付には辛い。

 本来なら、今日は泣く泣く加計呂麻行きを断念する予定だった。なぜなら天気予報が雨だったから。僕はどうしても加計呂麻を原付で回りたかったので、雨天なら延期。だから今日は無理だと思っていたのに、朝日のまぶしさに叩き起こされてびっくり。「空出てんじゃん・・」。かくして原付旅行は決行の運びとなった。

 家を出発し、途中でおむすびを買い、旅は順調にスタートした。が、朝戸を過ぎ和瀬トンネルに入ろうとするところでポツポツと雨。「こりゃダメだ−」といったんは引き返した。しかし、あきらめきれなくてもう一度方向転換。とりあえず和瀬トンネルを過ぎて住用まで行ってみることにした。

 住用に入ると予想外に陽がさしていて一安心。遠くに見える山には低い雲がかかっているが、まだまだ先に行けそうだ。進めるだけ進んでみよう。そう思ってまたアクセルを回した。途中、ポツポツとヘルメットに雨が当たったが、住用は無事にクリア。いよいよ最大の難関。網の子峠へ。

 名瀬〜瀬戸内線で唯一残った峠道。それが網の子峠。比較的直線が多く走りやすい峠ではあるが、いかんせん今日は原付。パワーの無い原付にとっては、カーブよりも傾斜の方が問題なのだ。案の定、登り始めてすぐ原付の非力さが露呈した。「の、登らん・・」。アクセルを最大限に回してるのに、えっちらおっちらとマイペースで登っていく原付。「もっとこうガ−ッと行けよ!」と思うのだが、こちらの希望に応えるそぶりは全くない。非力なのはわかってたことだし、別に自分1人なら気にもしないのだが、運悪くカーブで後ろから来た車にピッタリとくっつかれると、「これでも一生懸命やってるんです」と申し訳ない気分いっぱいで背中を丸めてしまう。幹線道路の辛いところだ。

 それでもどうにかこうにか網の子峠の頂上にたどり着いた。そして思った。やっぱり帰ろう。一寸先は霧。お先真っ白な状態に、こりゃダメだ−と本気で思った。とりあえず頂上過ぎの休憩所で原付を止め写真を撮る。白い世界をパチリ。何枚か撮っていると、遠くの風景が明るいことに気付いた。もしかして向こうは晴れてる?。引き返すのを思いとどまり、やっぱり行くことにする。ここまで来たんだ。雨が降ってもいいじゃないか。今日は何がなんでも加計呂麻に行ってやる。網の子峠頂上にして、やっと断固たる決意ができた。

 峠道を快調に下りてゆくと、霧はどんどん薄くなり天気が回復してきた。古仁屋に着くと頭上には青空。念のために羽織ったカッパが暑い。さっそく港に向かいチケットを買う。「生間まで。原付も」。大人260円に原付260円の計520円。車を渡すのに比べると遥かに安い。原付最高!と船に乗り込んだ。

 加計呂麻島の生間港へは片道20分。加計呂麻上空の空はどんよりしていたが、雨が降る雰囲気ではなかった。天気はどうやら持ちそうだ。加計呂麻へ行くという当初の目的を達成し、ホッとしておにぎりを一つほうばると船はもう加計呂麻へと到着した。あっという間の船旅だ。やるなフェリー加計呂麻。なにげにジュースが110円なのも素敵だ。

 加計呂麻に到着すると、まっすぐ諸鈍へと向かう。生間からなら諸鈍はすぐそこだ。原付のスロットルを握りながらふと思う。いいなぁ加計呂麻。最高だ。道路の細さといい、車の少なさといい、原付旅がとても気持ちイイ。風を切って快調に走る原付。諸鈍のデイゴはまだ3分咲きだったが、12時から16時までの約4時間で梅雨直前の加計呂麻を肌に感じる旅ができた。加計呂麻ですれ違った車は数台。後ろから追い立てられること皆無。そして何より原付が素晴らしいのは、感じた所ですぐ止めて写真を撮れること。小さな原付だからこそ、どんなに細い道でも人様の迷惑にはなりませぬ。もちろん撮った写真はフォトライブラリ形式で近日公開いたします。

 さて、再び古仁屋に戻ってからの帰り道。名瀬までの道のりを考えると気が重い。まっすぐ帰るのも何だなぁ・・と、港近くのバイク屋さんに寄ってみた。「もしかしてレンタルバイクやってないだろうか」と。な、なんとやってるではないか!。レンタバイク1日2千円。レンタサイクル1日千円。これなら車で古仁屋まで来て、んでもってバイクを借りるって手もあるな。原付旅は気持ちいいけど、国道の行き帰りがどうしても辛い。次から国道往復の元気がない時は、田原モータースで借りることにしよう。ちなみに連絡先は0997-72-0137。予約もできるそうです。古仁屋周辺をブラブラするならレンタサイクル。高知山登ったりホノホシやヤドリに行ったり、加計呂麻を回ったりするにはレンタバイクがお薦めです。

 帰り道。国道58号線。三太郎トンネル通過後。やっぱり最後は大雨にしっかり降られてしまいました。もう我慢できん!と降り出した雨の勢いはすさまじかった・・。念のために羽織ってたカッパのおかげで上半身とカメラは無事。無防備だった下半身だけがずぶ濡れになった。トンネルで雨宿りしながら一言。そろそろ梅雨かなぁ。

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