◇足を下ろすすぐ側から様々な植物に出会え、彼らが作り上げてきた世界に触れることができる。
◇自然界には種の存続が危ぶまれるほど、少ない数で限られた場所でやっとかっと生きている植物がいる。湯湾岳にもそんな植物が住んでいる。そっと見守って大事にしたいものだ。
◇さて、湯湾岳は国定公園の天然記念物。採取は法的にも罰せられるので、気を付けよう。
ユワンツチトリモチ
◎12月から1月頃まで。山道を歩きながら木々の根元をよく見ると、真っ赤なキノコのような植物が見える。ツチトリモチの花だ。イジュなどの根に寄生する。
■湯湾岳にのみ自生。
ギンリョウソウ
◎3月から4月頃、透明感ある真っ白い茎が地面からニョキっと生えてくる。写真は花が終わった後、実が熟してる様子。体も黒ずんでいる。
■日本各地。
クロバイの花
◎3月から4月頃、山にポツポツと白い花が目立つ。山全体が彩られるので、遠めにも美しい。登山道中腹の展望やぐらからの眺めがいい。たぶんクロバイ。
■関東以南。
ヤクシマスミレ
◎4月から5月頃にかけて、気を付けて歩かないと踏んでしまいそうなほど、山道の足下にたくさん見られる。花よりも小さい葉がとても可愛い。
■屋久島・奄美大島・沖縄本島に自生。
ナンゴクホウチャクソウ
◎4月から5月頃にかけて、ヤクシマスミレと一緒に山道をにぎわしている。屋久島以北に分布する基本種のホウチャクソウとよく似ているが、ナンゴクホウチャクソウの花には芳香がある。
■トカラ列島・奄美大島・徳之島に自生。
リュウキュウバライチゴ
◎3月頃に白い花が咲き、4月頃から実を見かける。ビーズを編んだように細かい粒が集まり、赤い実を付ける。登山道にいたる林道でも多く見かける。
■林道。
リュウキュウイチゴ
◎4月の終わり頃から実を見かける。こちらは黄色いビーズを編んだような実。バライチゴよりほんのり甘い(気がする)。登山道にいたる林道や、登山道でも見かける。
ホウロクイチゴ
◎4月の終わり頃から実を見かける。比較的大きい粒が集まって大振りな実を付ける。全体に毛が生えておりちょっと食べにくい。大きな葉が林道で目立つ。
リュウキュウハグロトンボ(♂)
◎湯湾岳に向かう林道で、春になるとよく見かける。糸トンボにしては大きな体をしており、目の前を横切るとパタパタと羽音が聞こえる。
■川の近く。
リュウキュウハグロトンボ(♀)
◎碧緑色に輝く雄と違い、少し地味な雌。胸の部分だけが緑色に輝く。雄には無い「羽のワンポイント」がとてもかわいい。
ミヤビカンアオイ
◎奄美諸島にはカンアオイの固有種がたくさんあるが、このミヤビカンアオイはとても小さい。登山道を歩きながら足下をよく見るとビロード状の小さな葉がたくさん見つかる。
ハゼノキ
◎11月頃から2月頃にかけて、奄美の山々で見られるハゼノキの紅葉。果実の皮からロウが取れるため、持ち込まれて野生化したものが多い。
■日本に広く分布する。