穏やかな世界に立つ虹 2021/3/1


--夕方の西日が部屋を照らす頃、ふと外を見るとサラサラと雨が降ってきていました。静かな雨。陽射しを浴びてキラキラと輝いています。しばし見とれてハ!と気付きました。虹だ!そうだ虹が出ているはず。急いで出かけようとしましたがすぐ雨は小降りに。なーんだ短かったなーと車に乗るのを止めて家に戻りました。すると「また降ってきているよ」と息子の声。「でもまたすぐ止むかもだから今日はいいや」と僕が言うと「止んでもまた降るかもしれないから行った方がいいんじゃない」と珍しく後押ししてくれました。「じゃあ行ってくる」と車を走らせながら空を見ると、東の空はもう雲がなくなっていて、西の方はまだ雨が降っていました。手広方面なら結構降っているから間に合いそうだけど、手広海岸は前に虹を撮ったからなーと思って芦徳へ。芦徳でも虹を撮ったことがあるけれど、赤尾木と芦徳の境目ではまだ撮ったことがない。海に出てすぐのところなら砂浜が広がっていたし、先の漁港も視界からかわせるかもしれない。そんなことを考えながら車を止める。車から出ながら、カメラバッグを持っていっても時間は無いし濡れながらレンズ交換する余裕も無さそうと思い、レンズ1本勝負で広角ズームが付いたカメラをつかんで浜辺へ駆け下りました。

--海に出ると目の前に虹のアーチ。良かった。間に合った。雨に濡れながらカメラを構える。ファインダーを覗くと白い砂にアオサの緑、そして青い海と空、そこに雨が降ってほんのり霞む景色の中にクッキリと虹。波はなく風も感じられず、雨すらも優しく降っていて、とても静かで穏やかな空間に虹は立っていました。「なんか凄いな」と思いながら夢中でシャッターを切りました。夢中になりながらも時々Tシャツでレンズを拭く自分に、そういう冷静さはあるんだと思いながら。


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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