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■ 湯湾岳に降り積もる雪  3/6   ←前編へ

--3月5日の夜に降り始めた雪は、その夜は惜しげもなく奄美に降りそそいだ。奄美で一番高い山の「湯湾岳:ゆわんだけ:694m」には、宇検村側の登山口と大和村側の登山口がある。より山頂に近いのは大和村側の登山口で、車で行ける高度も高い。宇検村の湯湾岳展望台で降雪を確認した私は、「もっと高いところはどうなっているのだろう」と車を走らせて大和村側の登山口へと向かった。時刻は夜の9時前。向かう途中の林道でもずっと雪は降り、いつもの夜の林道が雪の流れるドライブウェイとなった。大和村側の登山口に着くと、木製の登山用の階段が真っ白く雪化粧をまとっていた。懐中電灯を片手にそこらを探検してまわると、柱や草の上にもうっすらと雪が積もっていた。この感動を誰かに伝えたいと携帯を取り出すも、電波がうまくつながらない。ひとしきり降った雪が落ち着いた頃を見計らって、林道を戻り携帯がつながる場所まで走った。とりあえず両親を呼び、あとは降ったり止んだりの雪の中、星を見たりそこらを散策したりして到着を待った。その後は9時ほどの激しい雪は降ることなく、チラホラもしくはアラレのような白い大きな粒が降ることが多かった。そうして積もった雪がとけかけてきた真夜中の12時頃、ようやく両親が到着し、ひとしきり雪を見て、居合わせた若者たちが作った雪だるまと記念撮影をして、「寒い寒い寒いー」と飛び込むように車に乗り込んで家路へと着いた。帰る前に腕時計の気温表示を見ると「0度」。どうりで何枚服を着ても寒いわけだと納得した。

--後日、新聞に提供した写真が一面に載って気付いた。「みんな雪が見たかったんだ」と。また、今まで雪が降っただろう痕跡の写真はあったそうだが、現在進行形で奄美に雪が降っている最中の写真は初めてだということも新聞で知った。104年ぶりの雪と見出しにはあったが、気象庁が認定しないと記録には残らないそうで、また次降っても100何年ぶりになるんだろう。記録には残らないけど記憶には残った今回の雪騒動でした。

>>降雪記念ポストカード「奄美に舞い降りる雪」


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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