二つの海が見える場所 / 鹿児島県大島郡龍郷町加世間峠
 photo & text by RyoBeppu / www.amamicco.net

奄美大島の地図を見ると、北部で地形が細くなっている所があります。そこは赤尾木(あかおぎ)集落。赤尾木集落は海に挟まれており、民家が多い東シナ海側の西海岸から太平洋側の東海岸への直線距離は1kmありません。最短距離で800mほど、東シナ海から太平洋側へ徒歩8分で移動できます。その細い地形を高台から眺められるのが、二つの海が見える場所。昔の加世間(かしけん)峠です。

ここは屋入峠と間違って呼ばれることがありますが、実は最初にこの場所を紹介した時に私が「屋入峠」と間違って呼んでしまったのが原因で反省してます。その後「加世間峠」と訂正したものの両名混在する結果となったので、こうなったらわかりやすい名前を付けるしかないと思い「二つの海が見える場所」と名付けてみたところ、少しずつ浸透し、今は二つの海が見える場所・二つの海が見える丘などと一般に呼ばれるようにっています。

二つの海が見える場所への行き方は、ビッグツー近くの信号を戸口方面へ進んで、途中から左折して橋を渡ってT字路を左折して峠道を越える。もしくは、赤尾木の国道から大島紬村へ入る道と反対側にある山道を登って行くと着きます。2024年秋に道路工事が完了したので常時通り抜けられるようになりました。

二つの海が見える場所に立つと、左の海が東シナ海で赤尾木東海岸になります。赤徳小中学校が見えることでしょう。右手の方が太平洋側で、奥の岬が明神崎(みょうじんざき)、続いて用安(ようあん)・神の子・赤尾木東海岸・手広(てびろ)・加世間と集落が連なっています。時には、パラグライダーの飛行や手広海岸のサーフシーンが見られ、東に向いているので月の出や日の出を見ることもできます。以前は、パラグライダーのフライト台だけが見晴らしの良い場所でしたが、数年前に土砂崩れで道路が崩れ落ちた際に木々も無くなったため、現在は復旧された道路のいたるところで二つの海を眺められます(工事で通行止めの可能性アリ)。晴れ渡る空だけでなく、夏のスコール・秋の台風前・梅雨明け前の霧・入道雲にかかる虹など、様々な天気が二つの海を舞台に描かれます。

なお見るだけなら何時でも良いのですが、午前中は逆光になるので、青々した風景を撮るには午後がオススメです。炎天下の陽射しの方が色彩は鮮やかですが、ゆっくり過ごすなら背中側の山で道路が日影になる午後の遅い時間も良きです。それと二つの海に行く途中で眺める太平洋も気持ちいいです。

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